教育ICTリサーチ / 造形教育研究部・考える力研究部 ~クリエイティブな人材育成研究ブログ~

「図工」「美術」「情報」「総合」など、発想力・創造力・考える力を育成する教育プログラムや方法、実践などを紹介します。

【開発秘話】 情報分析・問題発見からプレゼンまで実習を通した、情報科カリキュラム@八王子学園八王子高等学校 #3

 この連載では、八王子高等学校の情報科の授業の様子と共に、そのカリキュラムの開発秘話を紹介いたします。今回は、全8回のうちの3回目の授業についてです。

 1回目と2回目のレポート内容は、こちらをご覧ください。
blog.ict-in-education-cr.jp

blog.ict-in-education-cr.jp


まずは、問題解決のゴールを具体的に設定する!

 情報の教科書に載っている問題解決の手順の多くは、ゴールを具体的に設定するところまでは、書かれていません。大まかには「問題発見→情報収集分析→まとめ→提案」という流れですが、問題解決の道筋を考える際に、あらかじめゴールを具体的に設定しておくことが大事だと考えました。
 日常生活上でもビジネス上でも、問題解決でありがちなのが、目的と手段を切り分けられずに、手段が目的となってしまうケースがよくあります。今の教育業界でいうと、ICTの導入が盛んに行われていますが、ICT導入すること自体が目的となってしまっているケースがよくあります。本来の目的としては、「1人1人のレベルに合った学習を提供したいから、アダプティブラーニングに適したアプリとそのアプリに適した端末を導入する」といった導入の仕方だったり、「知らない言葉や出来事に出会ったときにすぐに自分で調べるという癖がついてほしいので、1人1台タブレットを配布し、どこでもネットにアクセスできるようにwifiを完備する」などのように、何のためにICTを導入するのかという目的が明確にあることで、どういう手段をとるのが適しているのか思考したり、判断することができます。

 前回までの授業で、解決すべき問題を見つけたので、そこからいきなり手段である施策を考えるのではなく、最終的にその問題がどうなればいいのか、どういう状態になればゴールなのかを設定してもらいます。何が(評価対象)、いつまでに(期限)、どれくらい(数量)変化するのかの3つを明確にします。
f:id:ict_in_education:20161222103103j:plain

 「客数を増やす」という曖昧なゴール設定よりも、「1年後に、現状より3%の客数を増やす」というように具体的にした方が、1年後までに3%の客数を増やすにはどういった施策をしたらいいかを具体的に考えやすくなります。このゴールについても生徒たち自身で決めてもらい、自分でゴール(目標)を定めるということをしてもらいます。

 目標を定めた上で、手段を考えるという思考をさせることで、論理的思考が身につき、例えば進路を決める際にも、応用して考えさせることができると思います。まずどうなりたいのか・どうしたいのかの目標を定めてから、就職なのか、進学なのか、進学なら大学か短大か専門か留学かなどの手段を考えるというように、目的と手段を切り分けて考えることは重要です。


定めた目標設定をExcelでシミュレーションし、現実的かどうかをチェック

 グループで目標が設定できたら、その目標が現実的かどうかを、Excelを使ってシミュレーションをしました。前回までに調べたコンビニの売上などの数値を使って、現時点からゴールの期限までの変化をシミュレーションし、売上がどのように変化するかを数字で確認しました。その数字と過去10年間の実数値を比較して、現実的かどうかをチェックします。

 今回用意したExcelのテンプレートは、生徒は「変化率」だけを入力すればその割合に対して売上などが自動的に変化してシミュレーションできる形になっているので、さまざまな数値を入力して、どう変化するかを何度も試行錯誤することができるようになっています。
f:id:ict_in_education:20161222103108j:plain

 実際に、先ほどの目標で設定した数値を入力すると、予想以上に数値が大きくなりすぎてしまったので、変化率の数値をいろいろ試してみて、現実的な目標値がいくつか確認し、目標設定を修正するグループもいました。


マインドマップを使って、さまざまな切り口から施策のアイデア出し!

 目標が設定できたら、その目標を達成するための施策を、マインドマップでアイデア出しをします。真ん中に目標を書き、そこから「商品」「サービス」「広報活動」などの切り口を書き、切り口を基にアイデアを出していきます。八王子の生徒たちは、1学期にもマインドマップを少しやったことがあるので、今回は手慣れた手つきでどんどんアイデアを書いていってました。書き方の部分で切り口なしで直接アイデアを書いてしまっている生徒もいましたが、書き方を指摘して再度説明してあげると、すぐに修正して続きを書いていました。
 正しい書き方に固執する必要はありませんが、「切り口」を意識してアイデアを出すのと、意識せずに出すのとでは、意識した方がアイデアが出しやすくなります。「正しい書き方で書くことが大事なのではなく、「切り口」を意識して書くことが、たくさんアイデアを出す上でいいんだよ」ということを伝えると、まずどんな「切り口」があるかを考えて、そこからアイデアを出せるようになっていました。
f:id:ict_in_education:20161222103112j:plain

 アイデアの数は、予想していたよりもたくさん書けている生徒が多かった印象でした。もっと全然思い浮かばないという生徒が出てくるかと思いましたが、コンビニというテーマが身近であったこともあるのか、普段感じていることからの発想や、過去これまでにコンビニが実施してきたキャンペーンなどから連想したものも出てきていました。


次回は、4回目です。今回出した施策を、三角ロジックで根拠のある施策になるようにまとめ、プレゼン資料の構成を考える授業内容です。


(前田)