教育ICTリサーチ / 造形教育研究部・考える力研究部 ~クリエイティブな人材育成研究ブログ~

「図工」「美術」「情報」「総合」など、発想力・創造力・考える力を育成する教育プログラムや方法、実践などを紹介します。

【レポート】造形教育センター月例会

 4月23日に、造形教育センターの月例会に飛び入り参加してきました。造形教育センターとは、昭和30年に設立され、表現主義的な教育だけでなく、バウハウスの造形理論などの影響を受けて、デザイン・工作なども含めた総合的な造形教育の研究をされている団体です。小中高の先生、大学の研究者、学生、企業の方など、さまざまな立場で造形教育を実践されている方々が参加されています。

 今期は、「今、子どもたちに必要なこと+」をテーマに、美術教育とは違う視点で活動されている方々をゲスト講師として呼んで、本当に社会に必要となっていることは何かを考え、議論していらっしゃるそうです。過去のゲストとしては、漫画家、プログラマー、写真家、青年海外協力隊員、国際協力活動実践者など、さまざまな方を呼ばれたそうです。「リアリティは、その場にいかないとわからない」という考えのもと、さまざまな方のお話を聞いて、研究されているようです。

 そして、今回のゲスト講師の方は、学童施設を運営しているペパーソンインターナショナル株式会社(PEP)の代表取締役、神谷哲郎氏でした。神谷氏は、国際協力の現場で長くJICA事業に従事してきた方で、その経験がどのように今の子育て支援へと結びついているのかについて、お話されました。f:id:ict_in_education:20170501181248j:plain
▲左:神谷氏、 右:東京造形大学 石賀氏(進行役)

学校の先生になる前に、自分がやってきたことを試したい!

 神谷氏は、もともと学校の先生になるのが夢だったようですが、先生になる前に自身がこれまでに携わってきた美術活動や人形劇がどれだけ海外の子に影響を与えることができるかを試したいと思い、青年海外協力隊としてヨルダンで活動をし、その後、パレスチナ、エジプト、フィリピンに赴任。ライフワークとして人形劇を子どもたちに見てもらう活動を続けてきたそうです。パレスチナのある学校の掲示板に、自分たちの町が爆弾で襲われている絵が展示されていたり、街の壁画には、自爆テロをしている人を称える絵が描かれていたりして、日本では想像することもできないその風景が、衝撃だったそうです。描かれた絵をいけないことだと批判はできないので、神谷氏は壁画プロジェクトを立ち上げ、今起きていることではなく未来を描くことをテーマにして、難民キャンプの壁に新たな絵を描くことを提案されたようです。
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自分自身も中にいないと、リアリティを持たない!

 神谷氏は、平和構築に美術・人形劇を活かせないかと考え、上記のような海外活動をしてきたようですが、そういった活動をする一方で、日本に対しては自分が評論家になってしまう感じがしたようです。海外でやるにしても、まずは日本で何かやらないと説得力がない。自分自身も日本の中にいないとリアリティを持たないと考え、日本へ戻ろうと決めたそうです。

受け入れだけでなく、きちんとしたプログラムのある学童保育を!

 もともとの夢であった学校の先生にはならないことは決まっていたので、何をやるかと考えたときに、学童が受け入れをすることだけにフォーカスされている状況をなんとかしたいと思い、現在の会社を立ち上げたそうです。場所確保・人材確保・研修については、重要・大事だという人は多いけども、プログラムのことについてはあまり言われない現実があったそうです。神谷氏は自身の大学の恩師から学生当時に言われた、「生活指導ばかりに注力するのではなく、授業をおもしろくしろ」という言葉も後ろ盾となって、現在の学童施設を始めることを決めたそうです。

スタートは2人…!?

 しかし、どんなに内容に自信があっても、会社名も個人名も知らないところに、子どもを預ける人はいなく、開校当初は、2人だけという状況で、「認知」「信頼」を得ることの大切さ、難しさを強く感じたそうです。そうした中でも、1人1人の子と向き合い、子どもたちと親をつなぐことが役割であるとことを常に意識し、学童保育の中での子どもの様子を毎日細かく親に伝えることを大事にされてきたそうです。そうした丁寧な対応をしていったことで、口コミで徐々に広まり、現在は多くの子どもたちの笑顔で溢れる状態にまでなったそうです。

リアルな現実を知り、リアルな人のために考え行動する

 神谷氏のお話は、海外から日本まで幅広い活動のお話でしたが、常にリアルな現実を知ろうと動き、そこにいる人のために考え行動されているのだと感じました。〇〇はきっとこうだろうといった思い込み、決めつけをするのではなく、まずは自分の目・耳・体で確かめる。そこにいる人の声を聴く。その人のためにできることを考える。そういった当たり前だけども、忘れてしまいがちなシンプルなことを学んだ気がしました。

 そして、神谷氏の講演の後には、PEPの学童施設の教室を見せていただき、参加者全員でその教室でできる造形教育を考え、神谷氏にプレゼントする。というワークが行われました。ここでも、神谷氏や学童施設の話を聴き、教室を観ることで、リアルな現実を知り、そこに通う子どもたちのための造形教育を考えるという流れになっていたことも、ただ神谷氏の話を聴いて終わりではなく、そこから行動につなげていけるような研究会となっていたのがいいなと思いました。
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造形教育センター
造形教育センター 造形教育 教育 造形 研究


ぺパーソンキッズ&ユース
www.peperson.info


(前田)

ICT×美術教育 #32:Google「AutoDraw」を使って、特徴を捉えることの重要さを学ぶ

 フューチャーインスティテュートの前田です。美大卒の教育コンサルタントです。この連載では、ICTを使ってこんな授業ができるのではないかというアイデアを紹介していきます。

 今回は、Googleの「AutoDraw」を使って、特徴を捉えることの重要さを学ぶ内容を考えてみました。
「AutoDraw」は、人が描いた線をヒントに描こうとしているものを判断して、候補となる絵を割り出してくれるweb上のツールです。
線を描くごとに、画面上部に候補の絵が表示され、任意の絵をクリックすることで、手描きで描いた絵がきれいに整えられた絵に変わります。

www.autodraw.com

この機能を利用して、絵やモチーフを見る人に伝わるように描くには、特徴を捉えることの重要さを実感してもらいます。


▼授業の流れ

  1. AutoDrawの基本的な操作を説明する。
  2. テーマを与えて、描かせる。(例:ゾウ、ウサギなど、なるべく形的に特徴のあるモチーフがいいでしょう)
    1. 描きながら、画面上部に表示される候補の絵をチェックするように伝える。(クリックはしない)
    2. テーマの絵が候補の一番左側に表示されたら、描くのをやめる。
  3. 全員がテーマの絵が表示されるかある程度時間が経ったら、全体で鑑賞をする。
    1. 誰がいちばん少ない手数でテーマの絵が表示されたか確認する。
    2. 手数が少ない絵の中で、どういう傾向があるか話し合う。
    3. いちばん手数が少ない絵と、多い絵を見比べてみる。
  4. 特徴を説明する。(テーマ例:ゾウ)
    1. 耳を小さく描いた場合だと、長い鼻を描いても候補の一番左にゾウが表示されない。 →ゾウは耳が大きいのが特徴なので、小さいとゾウだと判断されにくくなってしまう。

▼顔だけでゾウを表現
1. 下の例では、顔と鼻だけでは、候補に「ゾウ」は表示されなかった
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2. 耳を1つ足すと、「ゾウ」が一番左に表示
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▼全身でゾウを表現
1. 下の例では、顔、体、前足、後足、方耳だけでは、一番左に「ゾウ」が表示されない(候補中には出た)
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2. もう1つ耳を足したら、「ゾウ」が一番左に表示
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▼全身のゾウで、耳を小さくしたら、鼻を描いても、一番左に「ゾウ」が表示されない(候補中には出た)
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 「AutoDraw」が公開されたときは、「おもしろいけど、多様性や一人ひとりの個性ある表現力を伸ばすことに注力している図工や美術では、使えないかな…」と思って使わずにいましたが、使わずに決めつけてしまうのはいけないな…と思い直し、ようやく使ってみました。
誰が描いたどんな絵でも、決められた絵になってしまうことから、逆に多様性の重要さを教えることはできないかな…とも思いましたが、機能自体がおもしろいので、多様性の重要性を伝えるには不適切だなと感じました。
 そして、絵の上手さに左右されずに、同じ素材を使うことができるというところから、美術の色彩構成で、レイアウトや配色を教えるのなら向いているかも…と思いましたが、実際にやろうとすると、背景は1色しか塗ることができず、絵を重ねても重なった線で区切られた部分を分けて色を塗ることができなかったので、レイアウトや配色を教えるのにも向いていないなと思いました。

 今回、思い込みで使わずにいた「AutoDraw」ですが、実際に使ってみることで見える・分かることもあるということを、改めて私自身が学びました。これは、学校のICT導入にも言えることではないかと思います。もちろん、何のためにICTを導入するのかという目的を明確にしてから、どういうICTを導入するのかが大事ですが、まずは目の前にある機材を使ってみる。無料で使えるツールを使ってみる。使ってみた上で、どう授業に活用できるかアイデアを出してみる。
そうすることで、イメージしていただけでは、思いつかなかった活用方法が生まれてくるかもしれません。


(前田)

【開発秘話】 情報分析・問題発見からプレゼンまで実習を通した、情報科カリキュラム@八王子学園八王子高等学校 #4

 この連載では、八王子高等学校の情報科の授業の様子と共に、そのカリキュラムの開発秘話を紹介いたします。今回は、全8回のうちの4回目の授業についてです。

 1~3回目のレポート内容は、こちらをご覧ください。
blog.ict-in-education-cr.jp

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プレゼンの対象・目的・評価基準を再確認してから、準備に入る!

 4回目の授業では、プレゼンの資料作成に入る前の準備工程が主です。そこで、その準備に入る前に、だれに向けてプレゼンをするのか(プレゼンをする対象)、何のためにプレゼンをするのか(プレゼンをする目的)、どういう観点でプレゼンを評価するのかを、再確認するようにしました。社長にプレゼンするのと、お客さんにプレゼンするのでは、プレゼンする内容が異なります。また、プレゼンをする目的が、提案する改善案の実施を承認してもらうことと、分析した結果を報告してアイデア出しに活かすことでは、こちらもプレゼンする内容が異なってきます。
 もちろん授業の最初に、対象も目的も提示していますが、授業を進めているうちに意外と忘れてしまったりするものです。一度説明したらOKということはありません。大事なことは何度でも繰り返し伝え、確認すべきです。これは、生徒に限ったことではないと思います。スライド作りの肝となる根拠の設定・構成に入る前に再確認することで、根拠や構成を考える上で、対象や目的を意識してもらうようにしました。


三角ロジックで根拠をまとめ、論理的な改善案にする!

 3回目の授業にて出した改善案について、それを勧める理由とそのデータを根拠としてまとめることをします。ここでは、次のような学習目標を組み込みました。

  • 主張に対して、理由とデータをつけて説明することができる
  • 情報の引用元を明確に表記することができる
  • 事実と意見を区別して情報を扱うことができる
  • キーワード検索を使って、情報を収集することができる

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 インターネット上で調べものをするのは、スマホが流通している現在においては、日常茶飯事ともいえる行動ですが、ネット上の情報をそのまま鵜呑みにしてしまう危険性も潜めています。そこで、引用元がどこなのか明記することや、調べた情報が事実なのか意見なのかを区別するように注意するような学習目標を入れ込み、ネット検索における注意点を知識だけで学ぶのではなく、それらを意識しながら、実際に根拠となる情報を探す実習としました。
 ここは、大人がやってもなかなか情報が見つからなかったり、結局見つからずにほかの根拠となる情報を探すように変えてみたりすると思います。授業でも実際にほしい情報が見つからない生徒もいました。そういう場合は、先生やアシスタントから検索で使用するキーワードを変えて検索するように促したり、ほしい情報がどういうサイトにありそうか考えさせてそのサイトを見てみるように促したり、どうしても見つからなければ、別の根拠となるデータを探してみるように促したりして、ある程度時間をとって、情報収集をさせていました。
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構成・台本作りが課題に・・・

 今回のカリキュラムは、スライド作成だけでなく、プレゼンテーションまで含めたものなので、いきなりスライドを作るのではなく、台本を作成するようにしました。
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 しかし、文章だけで考えるのが難しかったのか、どう書いたらいいのかわからない生徒が多く、なかなか書き始めることができなく、想定よりも時間がかかってしまったようでした。また、先生によっては、台本を作らずにスライドを作り始めさせたりもしていました。台本を作らずにいきなりスライドを作ったクラスは、このときはスムーズに進みます(進んでいるように見える) が、台本を書かずにいきなりスライド作成をしたために、プレゼンの際に以下のようなものが見受けられました。こちらについては、7・8回目の授業の記事にて詳しくご紹介させていただきます。

  • 何が言いたいのかよくわからない
  • スライドの見栄えはいいけども、根拠がきちんと明示されていない
  • スライドに書かれた文章をそのまま読んでいる

 今回の台本作りは、Wordで新規作成で書かせるようにしていましたが、先生にとっては書き方を説明しやすく、生徒にとっては考えやすいフレームワークを用意するように、改善しようと思いました。

次回は、5回目です。今回まとめた台本をもとに、スライドを作成する授業内容です。


(前田)

ICT×美術教育 #31:形や文字などを使った式で、絵を描こう

 フューチャーインスティテュートの前田です。美大卒の教育コンサルタントです。この連載では、ICTを使ってこんな授業ができるのではないかというアイデアを紹介していきます。

 今回は、算数と図工を組み合わせた授業を紹介します。算数で習う式を条件として使用し、同じ条件で表現や視点の多様性を学ぶ内容です。
〇・△・□などの形を式で表し、それを条件に思い思いの絵を描きます。

▼例1
〇3+□4=?

▼例1の式(条件)をもとに描いた絵のサンプル
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▼例2
△2+〇2+赤いろ=?

▼例2の式(条件)をもとに描いた絵のサンプル
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▼授業前準備

  • PowerPointで新規作成をし、レイアウトを「白紙」にする
  • 画面の上部に、テキストボックスと図形を使って式を書く
  • 書いた式を切り取って、スライドマスターの表示に切り替えて、貼り付けする
  • 式の図形の部分だけコピーして、ますたー表示を閉じて、標準に戻る
  • コピーした図形を必要な数だけ貼り付ける
  • 貼り付けで位置がズレた図形を、式の図形部分に合うように整列させる
  • 上記と同様にして、いくつか異なる式(条件)のスライドを作成する
  • 保存する(テンプレートとして使用)


▼授業の流れ

  1. 式を見せて、式の意味を説明する。
  2. サンプルの絵を見せ、式で示された通りの図形と数が使われていることを確認させる。
  3. 式に合った、絵を描くことを伝える。
  4. PowerPointの基本操作を説明する。
    1. 「元に戻す」ボタンの使い方を紹介する。間違った操作をしても、すぐに「元に戻す」機能を使うように伝える。
    2. 図形の移動・回転・拡大縮小の仕方を説明する。説明の際に、ポインタの形が変わることに注目させて、どの形のときに移動できるのか、回転できるのか、拡大縮小できるのかを細かく説明することで、作業中に児童生徒から手が挙がるのを減らすことができます。
    3. 図形の重なりの前と後ろの関係を変える方法について説明する。児童生徒の多くは、重なっているのがわからず、「消えた」と言います。口頭だけで説明するのは難しいので、紙とペンなどを使って、ペンが紙の後ろにいくとペンが見えなくなるのと同じように、大きな図形の後ろに小さい図形が重なって見えなくなっているということを説明してから、図形の前面へ移動・背面へ移動の説明をするのがいいでしょう。
  5. 児童生徒に、作画させる。
  6. ある程度、操作に慣れてきたら、色のつけ方も説明する。
  7. クラス全体で鑑賞会もしくは、発表をする。


画面上に表示された式の中にある図形を、移動させ、変形させて絵を描くことで、
同じ条件のものを、それぞれが考えた絵に変形・表現することで、発想や表現の多様性を学ぶことができると思います。


参考としたのは、NHK「デザインあ」の「かたちの式」です。
www.nhk.or.jp

導入として、「デザインあ」の「かたちの式」の映像を見せてもいいかもしれません。


(前田)

ICT×美術教育 #30:Google Cultural Instituteを使った作品鑑賞2「Made in Japan:日本の匠」

 フューチャーインスティテュートの前田です。美大卒の教育コンサルタントです。この連載では、ICTを使ってこんな授業ができるのではないかというアイデアを紹介していきます。

 今回は、Google Cultural Instituteを使った日本の伝統工芸の作品鑑賞を紹介します。
以前、Google Cultural Instituteを使った授業案を掲載させていただきましたが、今回紹介するコンテンツは、日本各地の工芸と匠の技を世界に紹介するプロジェクトの第2段で、2017年3月24日に70点を超える展示が追加され、全国47都道府県の工芸品とその歴史や制作過程がオンラインで鑑賞できるとのことです。

blog.ict-in-education.jp


Google Cultural Institute「Made in Japan:日本の匠」
www.google.com
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高品質&量も豊富!

 NHKエデュケーショナル美の壺」や京都女子大学生活デザイン研究所などの施設の協力のもと、日本全国の伝統工芸品を、クオリティの高い動画や高画質な画像で幅広く鑑賞することできます。
これだけの資料を集めるのは、とても大変なので、美術の先生にとってはとても貴重なコンテンツではないかと思います。

日本地図から伝統工芸品を検索できる!

 以下のように、伝統工芸品の数を表した数字が配置された日本地図があり、数字をクリックすると、その地域の詳細地図が表示され、赤いアイコンの部分をクリックすると、その地域の伝統工芸品についての詳細説明ページに遷移するようになっています。
グループごとに地域を振り分けて、地域性があるかを調べさせてもいいかもしれません。
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作品説明ページは、そのまま授業用スライドとしても活用できる!

 作品説明ページは、1ページ自体がスクロールがなく、クリックでページがめくられ、少しずつ説明が表示される体裁になっているので、そのままスライドとしても利用することができそうです。
中には、動画があったり、鑑賞ポイントが示されていたり、技法の作業手順ごとに説明されていたり、発祥が書かれていたりと、豊富な情報量となっているので、調べ学習にも鑑賞学習にも見ごたえはある印象です。
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 陶磁器だけ、染織だけ、自然から生まれた形だけ、などカテゴリでも分けられているので、カテゴリ別に調べ学習をさせることも可能だと思います。

いろんな作品の、作り手のインタビューや制作風景などの動画を手軽に観ることは難しいので、こういったサイトを利用して多くの作品を観て、多様に調べることができるのは、いいですね。


(前田)

【開発秘話】 情報分析・問題発見からプレゼンまで実習を通した、情報科カリキュラム@八王子学園八王子高等学校 #3

 この連載では、八王子高等学校の情報科の授業の様子と共に、そのカリキュラムの開発秘話を紹介いたします。今回は、全8回のうちの3回目の授業についてです。

 1回目と2回目のレポート内容は、こちらをご覧ください。
blog.ict-in-education-cr.jp

blog.ict-in-education-cr.jp


まずは、問題解決のゴールを具体的に設定する!

 情報の教科書に載っている問題解決の手順の多くは、ゴールを具体的に設定するところまでは、書かれていません。大まかには「問題発見→情報収集分析→まとめ→提案」という流れですが、問題解決の道筋を考える際に、あらかじめゴールを具体的に設定しておくことが大事だと考えました。
 日常生活上でもビジネス上でも、問題解決でありがちなのが、目的と手段を切り分けられずに、手段が目的となってしまうケースがよくあります。今の教育業界でいうと、ICTの導入が盛んに行われていますが、ICT導入すること自体が目的となってしまっているケースがよくあります。本来の目的としては、「1人1人のレベルに合った学習を提供したいから、アダプティブラーニングに適したアプリとそのアプリに適した端末を導入する」といった導入の仕方だったり、「知らない言葉や出来事に出会ったときにすぐに自分で調べるという癖がついてほしいので、1人1台タブレットを配布し、どこでもネットにアクセスできるようにwifiを完備する」などのように、何のためにICTを導入するのかという目的が明確にあることで、どういう手段をとるのが適しているのか思考したり、判断することができます。

 前回までの授業で、解決すべき問題を見つけたので、そこからいきなり手段である施策を考えるのではなく、最終的にその問題がどうなればいいのか、どういう状態になればゴールなのかを設定してもらいます。何が(評価対象)、いつまでに(期限)、どれくらい(数量)変化するのかの3つを明確にします。
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 「客数を増やす」という曖昧なゴール設定よりも、「1年後に、現状より3%の客数を増やす」というように具体的にした方が、1年後までに3%の客数を増やすにはどういった施策をしたらいいかを具体的に考えやすくなります。このゴールについても生徒たち自身で決めてもらい、自分でゴール(目標)を定めるということをしてもらいます。

 目標を定めた上で、手段を考えるという思考をさせることで、論理的思考が身につき、例えば進路を決める際にも、応用して考えさせることができると思います。まずどうなりたいのか・どうしたいのかの目標を定めてから、就職なのか、進学なのか、進学なら大学か短大か専門か留学かなどの手段を考えるというように、目的と手段を切り分けて考えることは重要です。


定めた目標設定をExcelでシミュレーションし、現実的かどうかをチェック

 グループで目標が設定できたら、その目標が現実的かどうかを、Excelを使ってシミュレーションをしました。前回までに調べたコンビニの売上などの数値を使って、現時点からゴールの期限までの変化をシミュレーションし、売上がどのように変化するかを数字で確認しました。その数字と過去10年間の実数値を比較して、現実的かどうかをチェックします。

 今回用意したExcelのテンプレートは、生徒は「変化率」だけを入力すればその割合に対して売上などが自動的に変化してシミュレーションできる形になっているので、さまざまな数値を入力して、どう変化するかを何度も試行錯誤することができるようになっています。
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 実際に、先ほどの目標で設定した数値を入力すると、予想以上に数値が大きくなりすぎてしまったので、変化率の数値をいろいろ試してみて、現実的な目標値がいくつか確認し、目標設定を修正するグループもいました。


マインドマップを使って、さまざまな切り口から施策のアイデア出し!

 目標が設定できたら、その目標を達成するための施策を、マインドマップでアイデア出しをします。真ん中に目標を書き、そこから「商品」「サービス」「広報活動」などの切り口を書き、切り口を基にアイデアを出していきます。八王子の生徒たちは、1学期にもマインドマップを少しやったことがあるので、今回は手慣れた手つきでどんどんアイデアを書いていってました。書き方の部分で切り口なしで直接アイデアを書いてしまっている生徒もいましたが、書き方を指摘して再度説明してあげると、すぐに修正して続きを書いていました。
 正しい書き方に固執する必要はありませんが、「切り口」を意識してアイデアを出すのと、意識せずに出すのとでは、意識した方がアイデアが出しやすくなります。「正しい書き方で書くことが大事なのではなく、「切り口」を意識して書くことが、たくさんアイデアを出す上でいいんだよ」ということを伝えると、まずどんな「切り口」があるかを考えて、そこからアイデアを出せるようになっていました。
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 アイデアの数は、予想していたよりもたくさん書けている生徒が多かった印象でした。もっと全然思い浮かばないという生徒が出てくるかと思いましたが、コンビニというテーマが身近であったこともあるのか、普段感じていることからの発想や、過去これまでにコンビニが実施してきたキャンペーンなどから連想したものも出てきていました。


次回は、4回目です。今回出した施策を、三角ロジックで根拠のある施策になるようにまとめ、プレゼン資料の構成を考える授業内容です。


(前田)

【開発秘話】 情報分析・問題発見からプレゼンまで実習を通した、情報科カリキュラム@八王子学園八王子高等学校 #2

 この連載では、八王子高等学校の情報科の授業の様子と共に、そのカリキュラムの開発秘話を紹介いたします。今回は、全8回のうちの2回目の授業についてです。

 1回目のレポート内容は、こちらをご覧ください。
blog.ict-in-education-cr.jp


協働 × データ分析、協働 × 問題発見
他者と相談・話し合うことで、分析や問題発見をより深める!

 八王子高等学校の情報科の授業では、これまでも実習の授業をやってきましたが、生徒同士で話し合い、内容を刷り合わせていくということはありませんでした。そこで、前回個人個人で調べた各担当コンビニの売上数値や店舗数、1店舗あたりの売上数値などを、他のコンビニの数値と比較するために、自分が担当しているコンビニ以外の人と数値データを共有し、どういう気づきがあったのか話し合いながら、データ分析を深めました。

 そして、再び担当コンビニでグループを再編成し、さまざまな視点から問題を発見できるように、データ分析をした観点(チェーン全店売上/店舗数/1店舗売上)が異なる人たちとグループを組むようにしました。
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▼グループ分けの図解
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 このグループ編成で参考にしたのは、知識構成型ジグソー法です。
CoREF - 知識構成型ジグソー法


 このジグソー法と、Excelを使ったデータ整合とWordによるレポート作成を合わせて、協働を通して分析と問題発見をする授業構成を考えました。

最終プレゼンのための、発表の練習となるグループ内でのミニ発表

 今回の2回目の授業では、データ分析と問題発見までしかしませんが、最終的に7・8回目の授業において、クラス全体で発表をしてもらう形になります。先生方が懸念されていたのは、「クラス全体に対して発表するということに慣れていない」ということでした。「恥ずかしいから発表したくない」「緊張していつものように話せない」そういった傾向になってしまいがちということで、いきなりクラス全体で発表する前に、データ分析における自分の考え・意見を発表する場として少人数グループでのミニ発表を設けました。


目的に応じて、アプリケーションや道具を使い分ける!

 これまでの八王子高等学校の情報科の授業は、主にWord、ExcelPowerPoint、InternetExplorerをアプリケーションごとに組まれた授業構成でした。Wordであれば、雑誌編集をする中で、文章入力や画像の挿入、検索置換や文字校正、レイアウト調整などをしていました。Excelであれば、ファーストフード店の都道府県別の店舗数や客単価を想定してそこから全店舗の売上数値を概算したり、音楽業界の売上の推移を大量のデータを使って、各年ごとにデータを並べ替えしたり、グラフを作成して数値ではわかりにくい推移を視覚化した上で、気づいたことをまとめたりしました。

 しかし、本来ならば、データ整理・分析ならExcel、レポートをまとめるならWord、プレゼン資料をまとめるのはPowerPointというように、アプリケーションごとに学ぶというよりも、目的に応じてアプリケーションを使い分けることができるのが大切です。「目的に応じて使い分ける」ということは、アプリケーションに限らず、プリントや付箋などのアナログのツールにも言えることです。八王子の先生方からも「目的に応じて使い分ける」ようにさせたいというご要望をいただいていたので、データを見て気付いた問題点の洗い出しについては、付箋を使うようにしました。

 アイデア出しにおいて重要なのはスピードです。質よりも量が優先される段階で、「え…これでいいのかな…合ってるかな…」といった迷いが出てしまうことはなるべく避けるようにしたいので、書き直しが容易であるデジタルはあまりオススメしません。また、生徒によってタイピングスキルがバラバラなので、入力スピードの遅い生徒にとっては、アイデアを思いつくスピードに、それを入力するスピードが追いつかないケースもあり得ます。もちろん、タイピングの方が速いという生徒もいると思うので、絶対付箋にすべきということもありません。実際に、仕事でアイデア出しをする際に、アナログの方がやりやすいという人もいれば、デジタルの方がいいという人もいるのが実態です。
 パソコン教室での授業だから、なるべくパソコンを使うようにする必要はないので、目的や生徒のスキルに合わせて、適した道具を使うのがいいでしょう。

 八王子の先生方も、クラスによって付箋でやっていたり、先生が個人的にExcelで作成されたファイルを使ってアイデア出しをしたりと、生徒の状況に合わせて使用する道具を使い分けているようです。

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次回は、3回目です。今回の問題発見から問題を絞り込み、そこから改善案を発想する授業内容です。


(前田)