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教育ICTリサーチ / 造形教育研究部・考える力研究部 ~クリエイティブな人材育成研究ブログ~

「図工」「美術」「情報」「総合」など、発想力・創造力・考える力を育成する教育プログラムや方法、実践などを紹介します。

【開発秘話】 情報分析・問題発見からプレゼンまで実習を通した、情報科カリキュラム@八王子学園八王子高等学校 #7・8

 この連載では、八王子高等学校の情報科の授業の様子と共に、そのカリキュラムの開発秘話を紹介いたします。今回は、全8回のうちの7・8回目の最終回の授業についてです。

 1~6回目のレポート内容は、こちらをご覧ください。
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プレゼンの善し悪しは、きちんと準備をしたかどうか。

 7・8回目の授業は、全グループ分のプレゼンを実施する回です。プレゼンの善し悪しは、一般的にも言われていることですが、やはりきちんと準備したかどうかで異なっていた感じでした。プレゼンの話し方が聴きやすいグループは、リハーサルで何回も練習していましたし、グループメンバーでたくさん話し合って認識を合わせて進めていたグループは、言いたいことが明確でわかりやすかったと思います。逆に、まったくリハーサルをしていないグループは、台本を棒読みしたり、スライドに書かれた文章をそのまま読んでいるだけだったり、笑ってごまかしたりするところもありました。グループ内であまり話し合いをせずに、構成も台本もバラバラに個人作業でやっていたところは、認識のすり合わせができていないので、何が言いたいのかよくわからないプレゼンになってしまっていました。
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 スライド自体の作りについては、論理的にまとめられているかどうかは、上記のようにこれまでの回できちんと準備してきたかどうかで異なり、なかなかうまくまとめられていないグループが多かったですが、スライド内での情報の見せ方については、文字だらけのスライドを作成するグループは少なく、比較的、画像や図、グラフなどを使って見やすいものを作れていたと思います。
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自分たちの学びを振り返るための…相互評価&自己評価?

 今回プレゼンを実施するにあたって、自分たちの学びを振り返るために、相互評価と自己評価をつけさせました。相互評価は、Excelを使い、評価基準別に数値を入力する形にし、グループごとにプレゼンが終わったら、評価を入力するような形にしました。評価をつけなくてはいけないことで、お互いのプレゼンをきちんと聴くような仕組みにはなりましたが、プレゼンを聴くことと、評価をすることの両方に追われ、プレゼンの内容をきちんと理解して聴くということができていなかったように感じました。その結果、生徒からの質問が少なかった印象もありました。
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 カリキュラム開発時点で、プレゼンでは相互評価をさせることが当たり前のような感覚で考えていたので、ここでのいちばんの目的である「学びを振り返る」ために、相互評価が本当に最良の手段なのかどうかを考えることが抜けてしまっていたと猛省しています。

 今回の全8回の授業は、問題発見から論理的な解決法を提案することがポイントなので、その部分において重点的に振り返りをさせるワークにさせる方がベストだったと思います。例えば、他のグループのプレゼンを観た上で、そのグループが発見した問題は何か・その解決法は何か・それを裏付けるデータと理由は何かを要約させて書かせるようなワークであれば、どういう観点でプレゼンを聴いたらいいかを意識させることができ、内容をきちんと理解するためによく観て聴くことを促し、わからない部分があったら生徒たちから質問が出てきやすくもなるかと思いました。

 また、それらの要約ワークが終わった時点で、プレゼンしたグループがスライド作成前にまとめた問題設定や三角ロジックの資料と、聴衆である生徒たちが要約した内容を比較することで、内容がきちんと伝わったのかどうかを確認したり、伝わっていない場合、何がわかりづらかったのか・何が原因だったのかを考えさせることもできたと思います。


 昨年度は、これまで問題解決のワークや、プレゼンテーションを実施したことのない生徒たちが初めて取り組んだ授業でした。論理的思考力や問題発見・解決力については、一度やっただけではなかなか定着するものではないので、今年度は、現在1学期の時点で、問題解決の部分を重点的に学習できるような授業を実施しています。こちらについても、引き続きレポートしていきたいと思います。


(前田)

【開発秘話】 情報分析・問題発見からプレゼンまで実習を通した、情報科カリキュラム@八王子学園八王子高等学校 #5・6

 この連載では、八王子高等学校の情報科の授業の様子と共に、そのカリキュラムの開発秘話を紹介いたします。今回は、全8回のうちの5回目と6回目の授業についてです。
5回目はこれまでまとめたものを使って、スライド資料をまとめる回で、6回目はそのスライド資料を使ってプレゼンのリハーサルをする回です。

 1~4回目のレポート内容は、こちらをご覧ください。
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スライド資料をまとめる際に、引用元の明記の仕方・著作権についても学ぶ!

 5回目の授業では、スライド作成の実習がほとんどですが、スライドをまとめるにあたって情報収集した先の引用元を明記したり、著作権を考慮することが必要になってきます。今回のスライドは公に発表したりはしませんが、スライド上で使用する画像については、著作権を考慮して、パブリックドメインのものか、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスのもので使用条件を満たしたものを使用するようにしました。実習の中で必要となる直前で説明することで、知識と実習をすぐに結び付けて考えられるようにしました。

 授業内での著作物の扱いについては、ある程度認められてはいますが、実習の中で引用すればOKとしてしまうと、「授業内だけ」と伝えていたとしても、知識よりも体験の方が記憶に残りやすいので、社会に出てから「えっ!?」ということになりかねません。使用する画像を狭めることは、スライド自体の自由度を狭めてしまいますが、特に情報科の授業においては、きちんと著作権を意識させる必要があるかと思います。

 生徒たちの様子を見ていると、必要な情報を探し見つけることは特に問題なくスムーズに行えているようでしたが、情報を探すことやスライドを作成することに集中しているのか、情報の引用元を記載することをうっかり忘れてしまっている生徒が多い印象でした。スマホの普及により、ネット検索のスキルは高くなってきていますが、著作権についての意識はまだ低いように感じました。おそらくこれまで作品制作や資料制作、文化祭のポスターなど、学校内で自由にキャラクターを使用しても問題ない・意識する必要がない環境だったことも影響しているのではないかなと思いました。
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最終的な成果物・スケジュールをこまめに意識させること

 6回目の授業では、プレゼン本番に向けてリハーサルを行う回でしたが、この回までに終っていないグループや、グループのメンバーが休んで終わらず、クラス全体でリハーサルを行うというよりは、できたグループは個別にリハーサルをし、終わっていないグループはスライド作成の続きをやる、という状態になり、本番さながらのリハーサルを行うことはできてなかったようでした。

▼個別にリハーサルをしている様子
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 その原因として考えられるのは、生徒自身が「最終的な成果物・スケジュールを意識できていなかった」ということではないかと思いました。今回のカリキュラムは、本来2学期で終了するものとして作成したものですが、2016年度は、これまでの既存のカリキュラムとの調整上、2学期の途中から始め、3学期終わりまで実施した形です。ちょうど今回の5回目くらいから3学期に入って実施したのですが、4回目の授業から約1ヵ月半程、間が空いてしまったので、4回目までにまとめた内容自体を生徒が忘れてしまっているようでした。最終的な成果物であるスライド資料の作成やそれを使ってプレゼンをすることをすっかり忘れてしまっている生徒がいて、スムーズにスライド作成に入れなかったり、グループで意見がかみ合わなかったりすることが多かったようでした。

 また、先生によっては、リハーサルをする回というのを、コミットしていなかったことも原因の一つかなと感じました。決められた日までになんとしてでも完成させるということを前もってコミットしておけば、その日までに終わるように、昼休みや補講の時間に作業をすることは可能だったと思いました。


次回は、7・8回目(最終回)です。いよいよプレゼン本番の授業です。


(前田)

【レポート】造形教育センター月例会

 4月23日に、造形教育センターの月例会に飛び入り参加してきました。造形教育センターとは、昭和30年に設立され、表現主義的な教育だけでなく、バウハウスの造形理論などの影響を受けて、デザイン・工作なども含めた総合的な造形教育の研究をされている団体です。小中高の先生、大学の研究者、学生、企業の方など、さまざまな立場で造形教育を実践されている方々が参加されています。

 今期は、「今、子どもたちに必要なこと+」をテーマに、美術教育とは違う視点で活動されている方々をゲスト講師として呼んで、本当に社会に必要となっていることは何かを考え、議論していらっしゃるそうです。過去のゲストとしては、漫画家、プログラマー、写真家、青年海外協力隊員、国際協力活動実践者など、さまざまな方を呼ばれたそうです。「リアリティは、その場にいかないとわからない」という考えのもと、さまざまな方のお話を聞いて、研究されているようです。

 そして、今回のゲスト講師の方は、学童施設を運営しているペパーソンインターナショナル株式会社(PEP)の代表取締役、神谷哲郎氏でした。神谷氏は、国際協力の現場で長くJICA事業に従事してきた方で、その経験がどのように今の子育て支援へと結びついているのかについて、お話されました。f:id:ict_in_education:20170501181248j:plain
▲左:神谷氏、 右:東京造形大学 石賀氏(進行役)

学校の先生になる前に、自分がやってきたことを試したい!

 神谷氏は、もともと学校の先生になるのが夢だったようですが、先生になる前に自身がこれまでに携わってきた美術活動や人形劇がどれだけ海外の子に影響を与えることができるかを試したいと思い、青年海外協力隊としてヨルダンで活動をし、その後、パレスチナ、エジプト、フィリピンに赴任。ライフワークとして人形劇を子どもたちに見てもらう活動を続けてきたそうです。パレスチナのある学校の掲示板に、自分たちの町が爆弾で襲われている絵が展示されていたり、街の壁画には、自爆テロをしている人を称える絵が描かれていたりして、日本では想像することもできないその風景が、衝撃だったそうです。描かれた絵をいけないことだと批判はできないので、神谷氏は壁画プロジェクトを立ち上げ、今起きていることではなく未来を描くことをテーマにして、難民キャンプの壁に新たな絵を描くことを提案されたようです。
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自分自身も中にいないと、リアリティを持たない!

 神谷氏は、平和構築に美術・人形劇を活かせないかと考え、上記のような海外活動をしてきたようですが、そういった活動をする一方で、日本に対しては自分が評論家になってしまう感じがしたようです。海外でやるにしても、まずは日本で何かやらないと説得力がない。自分自身も日本の中にいないとリアリティを持たないと考え、日本へ戻ろうと決めたそうです。

受け入れだけでなく、きちんとしたプログラムのある学童保育を!

 もともとの夢であった学校の先生にはならないことは決まっていたので、何をやるかと考えたときに、学童が受け入れをすることだけにフォーカスされている状況をなんとかしたいと思い、現在の会社を立ち上げたそうです。場所確保・人材確保・研修については、重要・大事だという人は多いけども、プログラムのことについてはあまり言われない現実があったそうです。神谷氏は自身の大学の恩師から学生当時に言われた、「生活指導ばかりに注力するのではなく、授業をおもしろくしろ」という言葉も後ろ盾となって、現在の学童施設を始めることを決めたそうです。

スタートは2人…!?

 しかし、どんなに内容に自信があっても、会社名も個人名も知らないところに、子どもを預ける人はいなく、開校当初は、2人だけという状況で、「認知」「信頼」を得ることの大切さ、難しさを強く感じたそうです。そうした中でも、1人1人の子と向き合い、子どもたちと親をつなぐことが役割であるとことを常に意識し、学童保育の中での子どもの様子を毎日細かく親に伝えることを大事にされてきたそうです。そうした丁寧な対応をしていったことで、口コミで徐々に広まり、現在は多くの子どもたちの笑顔で溢れる状態にまでなったそうです。

リアルな現実を知り、リアルな人のために考え行動する

 神谷氏のお話は、海外から日本まで幅広い活動のお話でしたが、常にリアルな現実を知ろうと動き、そこにいる人のために考え行動されているのだと感じました。〇〇はきっとこうだろうといった思い込み、決めつけをするのではなく、まずは自分の目・耳・体で確かめる。そこにいる人の声を聴く。その人のためにできることを考える。そういった当たり前だけども、忘れてしまいがちなシンプルなことを学んだ気がしました。

 そして、神谷氏の講演の後には、PEPの学童施設の教室を見せていただき、参加者全員でその教室でできる造形教育を考え、神谷氏にプレゼントする。というワークが行われました。ここでも、神谷氏や学童施設の話を聴き、教室を観ることで、リアルな現実を知り、そこに通う子どもたちのための造形教育を考えるという流れになっていたことも、ただ神谷氏の話を聴いて終わりではなく、そこから行動につなげていけるような研究会となっていたのがいいなと思いました。
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造形教育センター
造形教育センター 造形教育 教育 造形 研究


ぺパーソンキッズ&ユース
www.peperson.info


(前田)

ICT×美術教育 #32:Google「AutoDraw」を使って、特徴を捉えることの重要さを学ぶ

 フューチャーインスティテュートの前田です。美大卒の教育コンサルタントです。この連載では、ICTを使ってこんな授業ができるのではないかというアイデアを紹介していきます。

 今回は、Googleの「AutoDraw」を使って、特徴を捉えることの重要さを学ぶ内容を考えてみました。
「AutoDraw」は、人が描いた線をヒントに描こうとしているものを判断して、候補となる絵を割り出してくれるweb上のツールです。
線を描くごとに、画面上部に候補の絵が表示され、任意の絵をクリックすることで、手描きで描いた絵がきれいに整えられた絵に変わります。

www.autodraw.com

この機能を利用して、絵やモチーフを見る人に伝わるように描くには、特徴を捉えることの重要さを実感してもらいます。


▼授業の流れ

  1. AutoDrawの基本的な操作を説明する。
  2. テーマを与えて、描かせる。(例:ゾウ、ウサギなど、なるべく形的に特徴のあるモチーフがいいでしょう)
    1. 描きながら、画面上部に表示される候補の絵をチェックするように伝える。(クリックはしない)
    2. テーマの絵が候補の一番左側に表示されたら、描くのをやめる。
  3. 全員がテーマの絵が表示されるかある程度時間が経ったら、全体で鑑賞をする。
    1. 誰がいちばん少ない手数でテーマの絵が表示されたか確認する。
    2. 手数が少ない絵の中で、どういう傾向があるか話し合う。
    3. いちばん手数が少ない絵と、多い絵を見比べてみる。
  4. 特徴を説明する。(テーマ例:ゾウ)
    1. 耳を小さく描いた場合だと、長い鼻を描いても候補の一番左にゾウが表示されない。 →ゾウは耳が大きいのが特徴なので、小さいとゾウだと判断されにくくなってしまう。

▼顔だけでゾウを表現
1. 下の例では、顔と鼻だけでは、候補に「ゾウ」は表示されなかった
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2. 耳を1つ足すと、「ゾウ」が一番左に表示
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▼全身でゾウを表現
1. 下の例では、顔、体、前足、後足、方耳だけでは、一番左に「ゾウ」が表示されない(候補中には出た)
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2. もう1つ耳を足したら、「ゾウ」が一番左に表示
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▼全身のゾウで、耳を小さくしたら、鼻を描いても、一番左に「ゾウ」が表示されない(候補中には出た)
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 「AutoDraw」が公開されたときは、「おもしろいけど、多様性や一人ひとりの個性ある表現力を伸ばすことに注力している図工や美術では、使えないかな…」と思って使わずにいましたが、使わずに決めつけてしまうのはいけないな…と思い直し、ようやく使ってみました。
誰が描いたどんな絵でも、決められた絵になってしまうことから、逆に多様性の重要さを教えることはできないかな…とも思いましたが、機能自体がおもしろいので、多様性の重要性を伝えるには不適切だなと感じました。
 そして、絵の上手さに左右されずに、同じ素材を使うことができるというところから、美術の色彩構成で、レイアウトや配色を教えるのなら向いているかも…と思いましたが、実際にやろうとすると、背景は1色しか塗ることができず、絵を重ねても重なった線で区切られた部分を分けて色を塗ることができなかったので、レイアウトや配色を教えるのにも向いていないなと思いました。

 今回、思い込みで使わずにいた「AutoDraw」ですが、実際に使ってみることで見える・分かることもあるということを、改めて私自身が学びました。これは、学校のICT導入にも言えることではないかと思います。もちろん、何のためにICTを導入するのかという目的を明確にしてから、どういうICTを導入するのかが大事ですが、まずは目の前にある機材を使ってみる。無料で使えるツールを使ってみる。使ってみた上で、どう授業に活用できるかアイデアを出してみる。
そうすることで、イメージしていただけでは、思いつかなかった活用方法が生まれてくるかもしれません。


(前田)

【開発秘話】 情報分析・問題発見からプレゼンまで実習を通した、情報科カリキュラム@八王子学園八王子高等学校 #4

 この連載では、八王子高等学校の情報科の授業の様子と共に、そのカリキュラムの開発秘話を紹介いたします。今回は、全8回のうちの4回目の授業についてです。

 1~3回目のレポート内容は、こちらをご覧ください。
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プレゼンの対象・目的・評価基準を再確認してから、準備に入る!

 4回目の授業では、プレゼンの資料作成に入る前の準備工程が主です。そこで、その準備に入る前に、だれに向けてプレゼンをするのか(プレゼンをする対象)、何のためにプレゼンをするのか(プレゼンをする目的)、どういう観点でプレゼンを評価するのかを、再確認するようにしました。社長にプレゼンするのと、お客さんにプレゼンするのでは、プレゼンする内容が異なります。また、プレゼンをする目的が、提案する改善案の実施を承認してもらうことと、分析した結果を報告してアイデア出しに活かすことでは、こちらもプレゼンする内容が異なってきます。
 もちろん授業の最初に、対象も目的も提示していますが、授業を進めているうちに意外と忘れてしまったりするものです。一度説明したらOKということはありません。大事なことは何度でも繰り返し伝え、確認すべきです。これは、生徒に限ったことではないと思います。スライド作りの肝となる根拠の設定・構成に入る前に再確認することで、根拠や構成を考える上で、対象や目的を意識してもらうようにしました。


三角ロジックで根拠をまとめ、論理的な改善案にする!

 3回目の授業にて出した改善案について、それを勧める理由とそのデータを根拠としてまとめることをします。ここでは、次のような学習目標を組み込みました。

  • 主張に対して、理由とデータをつけて説明することができる
  • 情報の引用元を明確に表記することができる
  • 事実と意見を区別して情報を扱うことができる
  • キーワード検索を使って、情報を収集することができる

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 インターネット上で調べものをするのは、スマホが流通している現在においては、日常茶飯事ともいえる行動ですが、ネット上の情報をそのまま鵜呑みにしてしまう危険性も潜めています。そこで、引用元がどこなのか明記することや、調べた情報が事実なのか意見なのかを区別するように注意するような学習目標を入れ込み、ネット検索における注意点を知識だけで学ぶのではなく、それらを意識しながら、実際に根拠となる情報を探す実習としました。
 ここは、大人がやってもなかなか情報が見つからなかったり、結局見つからずにほかの根拠となる情報を探すように変えてみたりすると思います。授業でも実際にほしい情報が見つからない生徒もいました。そういう場合は、先生やアシスタントから検索で使用するキーワードを変えて検索するように促したり、ほしい情報がどういうサイトにありそうか考えさせてそのサイトを見てみるように促したり、どうしても見つからなければ、別の根拠となるデータを探してみるように促したりして、ある程度時間をとって、情報収集をさせていました。
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構成・台本作りが課題に・・・

 今回のカリキュラムは、スライド作成だけでなく、プレゼンテーションまで含めたものなので、いきなりスライドを作るのではなく、台本を作成するようにしました。
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 しかし、文章だけで考えるのが難しかったのか、どう書いたらいいのかわからない生徒が多く、なかなか書き始めることができなく、想定よりも時間がかかってしまったようでした。また、先生によっては、台本を作らずにスライドを作り始めさせたりもしていました。台本を作らずにいきなりスライドを作ったクラスは、このときはスムーズに進みます(進んでいるように見える) が、台本を書かずにいきなりスライド作成をしたために、プレゼンの際に以下のようなものが見受けられました。こちらについては、7・8回目の授業の記事にて詳しくご紹介させていただきます。

  • 何が言いたいのかよくわからない
  • スライドの見栄えはいいけども、根拠がきちんと明示されていない
  • スライドに書かれた文章をそのまま読んでいる

 今回の台本作りは、Wordで新規作成で書かせるようにしていましたが、先生にとっては書き方を説明しやすく、生徒にとっては考えやすいフレームワークを用意するように、改善しようと思いました。

次回は、5回目です。今回まとめた台本をもとに、スライドを作成する授業内容です。


(前田)

ICT×美術教育 #31:形や文字などを使った式で、絵を描こう

 フューチャーインスティテュートの前田です。美大卒の教育コンサルタントです。この連載では、ICTを使ってこんな授業ができるのではないかというアイデアを紹介していきます。

 今回は、算数と図工を組み合わせた授業を紹介します。算数で習う式を条件として使用し、同じ条件で表現や視点の多様性を学ぶ内容です。
〇・△・□などの形を式で表し、それを条件に思い思いの絵を描きます。

▼例1
〇3+□4=?

▼例1の式(条件)をもとに描いた絵のサンプル
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▼例2
△2+〇2+赤いろ=?

▼例2の式(条件)をもとに描いた絵のサンプル
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▼授業前準備

  • PowerPointで新規作成をし、レイアウトを「白紙」にする
  • 画面の上部に、テキストボックスと図形を使って式を書く
  • 書いた式を切り取って、スライドマスターの表示に切り替えて、貼り付けする
  • 式の図形の部分だけコピーして、ますたー表示を閉じて、標準に戻る
  • コピーした図形を必要な数だけ貼り付ける
  • 貼り付けで位置がズレた図形を、式の図形部分に合うように整列させる
  • 上記と同様にして、いくつか異なる式(条件)のスライドを作成する
  • 保存する(テンプレートとして使用)


▼授業の流れ

  1. 式を見せて、式の意味を説明する。
  2. サンプルの絵を見せ、式で示された通りの図形と数が使われていることを確認させる。
  3. 式に合った、絵を描くことを伝える。
  4. PowerPointの基本操作を説明する。
    1. 「元に戻す」ボタンの使い方を紹介する。間違った操作をしても、すぐに「元に戻す」機能を使うように伝える。
    2. 図形の移動・回転・拡大縮小の仕方を説明する。説明の際に、ポインタの形が変わることに注目させて、どの形のときに移動できるのか、回転できるのか、拡大縮小できるのかを細かく説明することで、作業中に児童生徒から手が挙がるのを減らすことができます。
    3. 図形の重なりの前と後ろの関係を変える方法について説明する。児童生徒の多くは、重なっているのがわからず、「消えた」と言います。口頭だけで説明するのは難しいので、紙とペンなどを使って、ペンが紙の後ろにいくとペンが見えなくなるのと同じように、大きな図形の後ろに小さい図形が重なって見えなくなっているということを説明してから、図形の前面へ移動・背面へ移動の説明をするのがいいでしょう。
  5. 児童生徒に、作画させる。
  6. ある程度、操作に慣れてきたら、色のつけ方も説明する。
  7. クラス全体で鑑賞会もしくは、発表をする。


画面上に表示された式の中にある図形を、移動させ、変形させて絵を描くことで、
同じ条件のものを、それぞれが考えた絵に変形・表現することで、発想や表現の多様性を学ぶことができると思います。


参考としたのは、NHK「デザインあ」の「かたちの式」です。
www.nhk.or.jp

導入として、「デザインあ」の「かたちの式」の映像を見せてもいいかもしれません。


(前田)

ICT×美術教育 #30:Google Cultural Instituteを使った作品鑑賞2「Made in Japan:日本の匠」

 フューチャーインスティテュートの前田です。美大卒の教育コンサルタントです。この連載では、ICTを使ってこんな授業ができるのではないかというアイデアを紹介していきます。

 今回は、Google Cultural Instituteを使った日本の伝統工芸の作品鑑賞を紹介します。
以前、Google Cultural Instituteを使った授業案を掲載させていただきましたが、今回紹介するコンテンツは、日本各地の工芸と匠の技を世界に紹介するプロジェクトの第2段で、2017年3月24日に70点を超える展示が追加され、全国47都道府県の工芸品とその歴史や制作過程がオンラインで鑑賞できるとのことです。

blog.ict-in-education.jp


Google Cultural Institute「Made in Japan:日本の匠」
www.google.com
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高品質&量も豊富!

 NHKエデュケーショナル美の壺」や京都女子大学生活デザイン研究所などの施設の協力のもと、日本全国の伝統工芸品を、クオリティの高い動画や高画質な画像で幅広く鑑賞することできます。
これだけの資料を集めるのは、とても大変なので、美術の先生にとってはとても貴重なコンテンツではないかと思います。

日本地図から伝統工芸品を検索できる!

 以下のように、伝統工芸品の数を表した数字が配置された日本地図があり、数字をクリックすると、その地域の詳細地図が表示され、赤いアイコンの部分をクリックすると、その地域の伝統工芸品についての詳細説明ページに遷移するようになっています。
グループごとに地域を振り分けて、地域性があるかを調べさせてもいいかもしれません。
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作品説明ページは、そのまま授業用スライドとしても活用できる!

 作品説明ページは、1ページ自体がスクロールがなく、クリックでページがめくられ、少しずつ説明が表示される体裁になっているので、そのままスライドとしても利用することができそうです。
中には、動画があったり、鑑賞ポイントが示されていたり、技法の作業手順ごとに説明されていたり、発祥が書かれていたりと、豊富な情報量となっているので、調べ学習にも鑑賞学習にも見ごたえはある印象です。
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 陶磁器だけ、染織だけ、自然から生まれた形だけ、などカテゴリでも分けられているので、カテゴリ別に調べ学習をさせることも可能だと思います。

いろんな作品の、作り手のインタビューや制作風景などの動画を手軽に観ることは難しいので、こういったサイトを利用して多くの作品を観て、多様に調べることができるのは、いいですね。


(前田)